腹圧性尿失禁
腹圧性尿失禁とは
腹圧性尿失禁とは、くしゃみ・咳・笑う・重い物を持つなどでお腹に力(腹圧)がかかったときに、尿が漏れてしまう状態です。
特に中高年の女性に多く見られる尿失禁の一種で、出産経験や加齢によって骨盤底の筋肉や靱帯が緩むことが主な原因です。
主な原因
▼ 骨盤底筋群のゆるみ・機能低下
骨盤の中で膀胱・尿道・子宮などを支える筋肉や靱帯が弱くなることで、尿道の締まりが悪くなります。
▼ 主なリスク要因
出産(経膣分娩)
加齢(特に閉経後)
肥満
慢性的な咳や便秘
重労働・長時間立ち仕事
症状
咳、くしゃみ、ジャンプ、笑う、階段を降りるといった動作で尿が漏れる
尿意がなくても腹圧だけで漏れてしまう
日常生活で「下着を変える回数が増える」「トイレに行く前に少し漏れる」などの不快感
治療方法
▼ 1. 保存療法(第一選択)
● 骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)
肛門や膣・尿道を締める筋肉を意識的に鍛える運動
正しく継続すれば、多くの方で改善効果あり(目安:3か月以上)
● 生活指導
体重管理(肥満改善)
咳・便秘の治療
トイレの習慣の見直し(尿意がないときに行き過ぎない)
▼ 2. 薬物療法(日本では選択肢が限られる)
一部の抗うつ薬(ドゥロキセチンなど)が効果を示すこともありますが、日本では保険適応外
▼ 3. 手術療法(保存療法で改善しない場合)
TOT手術(テープを使って尿道を支える):成功率が高く、日帰りや短期入院で可能なケースも
TVT手術など他のスリング手術も選択肢
予後と注意点
多くの場合、適切な運動療法で改善が期待できる
早期に対処すれば、手術に至らずに日常生活を快適に送れるケースが多い
放置すると外出や運動の制限、心理的ストレスにつながるため、早めの相談が大切です。