精巣上体炎(副睾丸炎)とは

精巣上体炎は、精巣の後ろにある「精巣上体(副睾丸)」に細菌などが感染して炎症を起こす病気です。
精子の通り道である精巣上体が腫れ、陰嚢の痛みや腫れ、発熱を伴うことがあります。
思春期以降の男性によく見られ、尿路感染や性行為をきっかけに発症することがあります。

主な原因

●細菌感染(尿路から逆行感染)
最も多い原因で、大腸菌やクレブシエラなどの腸内細菌によるもの。
尿道から前立腺、精管を逆行して精巣上体に到達します。

●性感染症(STI)
若年層では、クラミジアや淋菌などが原因となることが多い。
性交渉が感染経路となることも。

●リスク要因
前立腺肥大症、尿道狭窄
長期間のカテーテル留置
免疫力の低下
長時間の自転車・バイク乗車(血流や圧迫の影響)

症状

陰嚢の片側の腫れ・強い痛み
発赤・熱感(触れると熱く感じる)
歩くと痛い、座っても不快感
発熱(38℃以上)・悪寒・倦怠感
排尿時の痛み・頻尿・血尿
精液に血が混じることもある(血精液症)
※ 精巣捻転と症状が似ているため、早期の鑑別が重要です。

治療方法

●抗菌薬の投与
原因菌に応じて抗生物質を内服または点滴で投与。
クラミジア・淋菌が原因の場合は、パートナー治療も必要です。

●安静と冷却
安静にして、陰嚢を軽く冷やすことで痛みや腫れを緩和。
陰嚢の保持(ブリーフやタオルで支える)も効果的。

●鎮痛薬
解熱鎮痛剤で痛みや発熱を和らげます。

●重症化時の対応
治療が遅れると精巣上体膿瘍や精巣炎の合併、不妊症の原因になることがあります。

再発予防と注意点

性感染症の予防(コンドーム使用、複数パートナーとの性交の見直し)
排尿トラブルの治療(前立腺肥大など)
水分摂取と排尿の習慣化

精巣上体炎は、比較的短期間で改善する病気ですが、放置すると重大な合併症につながることもあります。早期診断と治療が重要です。