急性細菌性前立腺炎とは

急性細菌性前立腺炎は、前立腺に細菌が感染して急性の炎症を引き起こす病気です。
突然の高熱、排尿困難、会陰部(股の間)の痛みなどを伴い、比較的まれだが緊急性の高い疾患です。
放置すると前立腺膿瘍や敗血症といった重篤な合併症を招く恐れがあるため、早急な診断と治療が必要です。

主な原因

●尿路からの細菌感染
最も多い原因は腸内細菌(特に大腸菌)が尿道から逆行し、前立腺へ感染することです。

●その他の感染経路
性感染症(クラミジア、淋菌など)
尿道カテーテルや医療行為(内視鏡検査など)による外傷性の感染

●リスク要因
前立腺肥大症
尿の流れが悪い(尿閉、排尿障害)
尿道狭窄
免疫力の低下(糖尿病など)

症状

発熱(38〜40℃の高熱)、悪寒
会陰部や肛門周囲、下腹部の強い痛み
排尿困難・尿の出づらさ
頻尿・残尿感・排尿時痛
尿のにごり・血尿
射精時の痛み
全身倦怠感・悪寒・吐き気
※ 高齢者では意識障害や血圧低下(敗血症性ショック)を起こすこともあります。

治療方法

抗生物質の投与(第一選択)
起因菌に対して有効な抗菌薬(ニューキノロン系やセフェム系)を使用
重症例では点滴治療+入院管理

対症療法
解熱鎮痛薬の投与
水分補給(点滴含む)で尿量を確保
排尿困難が強い場合は導尿や膀胱カテーテル留置が必要

経過観察と再評価
治療効果をみながら、必要に応じて抗菌薬を変更
再発や膿瘍形成があれば外科的処置の検討

注意点・予後

適切な治療を行えば数日~数週間で改善します。
治りきらないと慢性前立腺炎に移行することがあるため、医師の指示通りに抗生物質を飲み切ることが重要です。
再発防止には、排尿習慣の改善・感染予防・泌尿器の定期チェックが有効です。