前立腺肥大症とは

前立腺肥大症とは、男性にある「前立腺」という臓器が加齢により大きくなり、尿道を圧迫して排尿に関するトラブルを引き起こす病気です。
主に中高年以降の男性に多く見られ、50歳以上の男性の約半数が何らかの症状を経験すると言われています。

主な原因

●加齢
加齢によりホルモンバランス(テストステロンとエストロゲン)が変化し、前立腺の細胞が増殖して肥大化します。

●男性ホルモンの影響
男性ホルモンのひとつである「ジヒドロテストステロン(DHT)」が前立腺組織の成長を促すとされています。

●遺伝や生活習慣
家族歴や肥満、喫煙、食生活、運動不足も発症リスクと関係していると考えられています。

症状

前立腺が肥大すると、膀胱の下にある尿道を圧迫して次のような排尿トラブルを起こします。

排尿困難の症状
尿が出にくい・細くなる
尿を出すのに時間がかかる
尿が途中で止まる
残尿感がある
蓄尿症状(膀胱が過敏に)
頻尿(特に夜間頻尿)
急に尿意を感じる
我慢できず漏れてしまうことも

治療方法

症状の程度や生活への影響に応じて治療方針が決まります。

●薬物療法(第一選択)
α1遮断薬:前立腺や尿道の筋肉を緩めて尿を出しやすくします。
5α還元酵素阻害薬:前立腺のサイズを縮小させます。
PDE5阻害薬:血管を広げ血流を良くしたり、前立腺、平滑筋を緩めることで尿を出やすくします。
抗コリン薬やβ3作動薬:頻尿など膀胱の過活動に対処します。

●生活習慣の改善
就寝前の水分制限
排尿習慣の見直し
カフェインやアルコールの摂取制限

●手術療法(症状が重い場合)
経尿道的前立腺切除術(TURP):内視鏡で前立腺の一部を切除
レーザー治療(HoLEPなど):出血が少なく高齢者にも適した方法

放置すると

尿閉(完全に尿が出なくなる)
膀胱結石や腎機能障害
感染症(膀胱炎・腎盂腎炎)
など、日常生活に大きな支障をきたすこともありますので、早期の診断・対処が重要です。

検査・診断

●尿検査 
膿尿や細菌尿がないかなどを調べます。

●尿流量測定
おしっこの量、出るのにかかる時間を測ることで勢いを測定する検査です。勢いの程度は治療方法の選択の参考になります。

●血液検査
採血によって腎機能の低下がないかどうかを調べることがあります。また前立腺癌ではないことを確認するためPSAといわれる前立腺癌の腫瘍マーカーを測定することがあります。

●超音波検査
前立腺の大きさを調べたり、残尿がないかどうかを調べたりするために行います。また水腎症の有無を超音波検査で確認したります。