急性腎障害
急性腎障害とは
急性腎障害(AKI)*とは、数時間から数日という短期間で腎機能が急激に低下する状態を指します。
腎臓は血液をろ過して尿をつくる臓器ですが、その機能が急激に落ちることで、体内に老廃物や水分・電解質がたまり、命に関わることもある重大な疾患です。
主な原因
AKIは、原因部位によって3つのタイプに分類されます:
(1)腎前性(腎臓の血流が減る)
脱水(下痢・嘔吐・出血・利尿薬の使用)
心不全・ショック(腎臓への血流が減る)
重度の感染症(敗血症)
(2) 腎性(腎臓そのものの障害)
急性糸球体腎炎
急性尿細管壊死(ischemic or toxic)
薬剤性腎障害(抗菌薬、造影剤、NSAIDsなど)
(3) 腎後性(尿の出口が詰まる)
前立腺肥大症、腎結石、腫瘍などによる尿路閉塞
症状
尿量の減少(乏尿または無尿)
むくみ(浮腫)
倦怠感、吐き気、食欲不振
息切れ、意識障害(重症時)
高カリウム血症による不整脈リスク
※ 軽症では症状が乏しいこともありますが、急速に悪化する可能性があるため注意が必要です。
治療方法
AKIの治療は原因に応じた対処+腎機能の維持・回復を目指す supportive therapyが基本です。
●腎後性
尿路の閉塞解除(カテーテル、手術など)
★ 重症例では…
一時的に人工透析(血液透析)が必要になることもあります
●腎前性
水分補給・点滴で循環血液量の回復
心不全・感染症の治療
●腎性
原因薬剤の中止
原因疾患(糸球体腎炎など)の治療
電解質異常(特に高カリウム)の補正
予後と注意点
軽度であれば数日~数週間で回復することが多い
高齢者や重症例では慢性腎臓病(CKD)や末期腎不全に移行することも
再発防止のために:
脱水予防、薬剤管理(腎毒性薬の使用に注意)
定期的な腎機能のモニタリング